もくじ

出店場所の考え方(戦略)について

駅前立地以外を出店場所に選ぶ際のポイント

駅前で出店する場合のポイント

サンプル例 1

サンプル例 2

サンプル例 3

まとめ

出店場所の考え方(戦略)について

不動産業を開業し店舗出店する際、その場所が大切な場合とそうでない場合があると思います。

1.出店場所を武器に営業をするなら!
→駅の改札を出てすぐのよく乗降者から見える場所を選ぶ

2.出店場所を武器にしない営業をするなら!
→立地によっての集客は諦め、そのコストと労力を他にまわす

ご自身の体験に置き換えて頂ければ一番わかりやすいですね。
自宅や事務所を探そうとする場合、インターネットでの検索が主となると思います。現在、ほとんどのお客様は物件探しをまずインターネットで行います。

その場合、高い家賃を払って駅前の一等地に物件を確保する事よりも、インターネット上のSEO検索対策を行ってお客様を集客する方が費用対効果が良い場合もあります。
IT技術が進み、そのような戦略が練れるようになった今日では、「駅前の1階」にはあまりこだわらず出店する企業さんも多くなりました。
そこでまずは、出店場所を武器に営業しないスタイルについて考えてみましょう。

駅前立地にこだわらない派のポイント

いくら駅前に比べ家賃が安いからと言ってどこで出店しても良い訳ではありません。ここでは、出店場所を選ぶ際の考慮要素を考えてみます。

1
そこそこ交通の便がいい


インターネットで検索し、内見したい物件を持っている不動産会社に行こう!!と思った際に、交通の便が不便で行くのをためらうほどの場所は不可。

2
安く上げた家賃分を広告費へ


インターネットでの集客は毎月多額のお金が「広告」に消えていきます。その分、家賃は安く抑え、毎月の固定費と売上のバランスを取る事を考えます。

3
見つけやすい位置、場所


毎日通勤に電車やバスを利用している方はお分かりだと思いますが、通勤路から見える物件は、それだけでその会社や店舗が存在している事をアピール出来る広告効果があります。駅前にこだわらなくても「目に入る場所」にする事は重要です。

つまり駅前は予算的に無理でも、色々な方が日々通過する際に必ず目に入り、かつ実際に行こうと思った時にそこそこ行きやすい場所、が出店に適した場所と言えます。

たとえば、交通量の多い交差点で、いざ行ってみようと思った際に車を止めるスペースがあるところなど毎日多くの方の目に入る場所ながら家賃相場が低めの立地も候補として検討することが出来ます。

低家賃+視認性有の両方取りの出店戦略です。

1
自宅を活用する!


自宅の一区画を事務所にする事で、ランニングコストゼロにする戦略。
家賃だけでなく、交通費等もかかりません。

但し、自宅を店舗とする場合は、不動産業の開業条件を満たす設備的な配置等の配慮も必要ですが、必ずお客様の気持ちになってお客様がご来店しやすいような工夫をして下さい。
特に、入口付近に生活感が出ていると、知らない人の家に勝手に入っていくような勇気をお客様に要求する事になります。個人的な案ですが、庭付きの戸建てをお持ちでしたら庭に小さくて良いのでプレハブなどで事務所を設置し、自宅とは別棟を作るのが良いと思います。
プレハブ建設に多少の初期費用は必要ですが、ランニングコストがほぼかからず、更に、外に向けて看板さえ出せれば地元地域の方は営業している不動産屋であるという認識を持って下さる可能性が高いです。

駅前で出店する場合のポイント

次に駅前で出店する事場合の要素を考えてみましょう。

ます、立地によって集客を確保しようとする場合は、「入りやすさ」「安心感」「信頼感」「視認性」の確保は必須です。

開業資金が潤沢な企業様は使える戦術ですが、一般の方が開業するには費用面で無理があります。

「入りやすさ」「安心感」「信頼感」「視認性」 などの条件を満たすにはやはり、駅前立地物件などがイメージになると思いますが大手不動産会社がひしめく駅前ビルに何とか視認性の良い場所を確保出来たとしても、その一般人から安心感のある大手不動産会社ではなく、あなたの不動産屋に入ろうとする動機付けをどのようにするのかは難しい課題となります。

その為、不動産業を新たに一から開業する個人または零細企業の案としては駅前プランが一番成功が難しいと思われます。

しかし、そうはいってもやはり本来地元に根付いた一般的な王道の不動産屋のスタイルとしては駅前の不動産屋ですね。

そこで、以前に伺った駅前不動産の営業スタイルについてサンプル例をご紹介したいと思います。

サンプル例 1

大きな大学が3校近くにある駅前の路面店で営業されている地元の不動産屋さんの場合。

これは皆さんのご想像通り、地方から上京されてくる学生さんメインの営業をされているそうです。

毎年1月から3月の間に一年分の売上をたてるつもりで営業活動を行うそうですが、毎年3か月間は休みなく働くそうで、そのかわりといっては何ですが皆さんが注目していない11月中に誰にも知られないように、従業員研修と銘打って毎年9日間連続休暇を取っているそうです。

新大学一年生への賃貸メインの営業だと、大学に合格し入学予定の新1年生が遠方からご両親と一緒に物件を見に来る場合、上京中の2,3日中に契約を終わらせてご実家に帰られる方が大半だそうで短期間内に契約が取れるかの勝負になります。

お気に召す物件を紹介すれば実際に契約して下さるのお客様が大半なので、色々物件を紹介してもなかなか本契約に結びつかない通常のお客様に営業するよりは効率的ですね。

新入学生に対応する繁忙期以外の時期は、お客様に紹介可能な物件を1件でも増やす為、日々賃貸物件のオーナー様に自社でも物件を紹介させてもらえるように日々営業をかけているそうです。

尚、繁忙期にご入居して頂く事が出来なかった物件ついては、家賃や初期費用の減額や内装工事による物件のブラッシュアップを図る事をオーナー様にご提案し全ての物件に空室が無い様努力するのも繁忙期以外の仕事になります。

そんな営業スタイルが出来るのは大学最寄りの駅前に店を確保出来ているからです。
新規の見込み客である新入学生さんを毎年確保出来るからこそ成り立つ営業手法であり、この営業手法でいくとすると駅前立地確保は必須と言えます。

つまり

出店場所=その不動産屋の生命線

の良い例ですね。

サンプル例 2

その反対に私が勧める、事務所取得にあまり初期費用がかからないスタイルで成功しているサンプル例をご紹介します。

アイオン行政書士事務所の近くにはUR物件のみに客付を行っている会社もあります。

UR(都市機構)が提供している賃貸物件は、民間企業と異なり、公が運営している為一般の賃貸物件より物件面積が広い割に安い物件が多いのが特徴で、昔ながらの「公団の団地」を運営、提供しているものこのURです。

敷金、礼金、連帯保証人不要の物件なども多々あり、駅から近いUR物件はいつも大人気ですが、このURの物件のみをご提案しているある不動産会社さんの場合は、JRの主要ターミナル駅から徒歩圏内に店舗があります。
しかし、外からは営業している事が全く分からない視認性が全くない立地ですが常にお客様の来客を受けています。

やはり交通の便は良くないと集客は難しいようですが、インターネットで集客するスタイルにする事で、視認性は決して良くはない場所でも出店して成功している不動産屋です。

この場合

× 出店場所=その不動産屋の生命線 

○ 生命線=魅力的な物件を常に用意している

という例です。

サンプル例 3

最後に非常に古典的なチラシ営業についてのサンプル例を説明します。

ご自身の営業可能範囲はどの程度の範囲をお考えでしょうか。

自社店舗を中心に半径3KM?10KM? 

皆さんが出店する場所が都心なのか、郊外なのかによって全く状況が異なると思いますが例えば高齢化が進み始めているような場所では、インターネット以外にも、昔ながらの折り込みチラシが絶大な力を持つ地域もまだまだあるそうです。

自分の不動産を売却するなどを検討する方が新聞の折り込みチラシを見て不動産屋に売却依頼の問い合わせ電話をしてきて下さるスタイルです。

この場合、自社の考える営業範囲内には1年に4回とか半年に1回とかのペースでも良いのでチラシを投函し続ける必要があります。

この方法は結果が出るまでに時間がかかりますが、継続的にチラシをまきつづけると、チラシを受け取っている地域のお客様からしてみると「何年も営業し続けているから信頼がおける会社なのだろう」ですとか、「会社名に親しみを感じる」ようになるそうです。

又、たぶん皆さんのご存じの無い折り込みチラシの効果として、チラシを入れた10年後20年後にチラシを見て電話をしてくる方がいらっしゃるという事です。

なぜ10年後?と思う方も多いと思いますが

一般的にお客様は自宅などの不動産の売買などを考え始めた際にチラシを集め始めます。
その後どちらかの不動産屋と契約し、その売買は完了した後、お客様はその不動産取引の際に検討した全ての書類を一つにまとめて保管する傾向があります。
その為、自社のチラシも検討資料として一度でも読んで下さっていると、契約書等と一緒に大切に保管して下さいます。

そして、何年か経過後、何かの事情でその買い取った物件を売却したいと考えると以前の本契約書等の関連書類が全て入った封筒を金庫などから引っ張り出して下さいます。

そして、そのタイミングこそ不動産の取引を考えているタイミング

となります。

つまり、数年前に配ったチラシを見て電話して下さるお客様もいらっしゃるわけです。

これから、何十年とその場所で不動産屋を経営して地元の顔になれるよう頑張ろうと長期戦を考えていらっしゃる方でしたら、ご自身のエリアに時折、チラシを配布する予算を確保する方が高い家賃の場所に出店するよりも安定経営と言えるのではと思います。

又、チラシを自分自身で配れば郵便ポストが郵便物やチラシでいっぱいになっている事を知る事で自社の営業エリアの空室物件を発見する機会にもなるので新たな自社取扱物件の可能性を発見する事にもなります。

このようなチラシ営業の場合、視認性の高い、家賃高めの事務所は不要です。

まとめ

このように、事務所の立地条件を決める事と開業後集客方法をどのようにしていくかを考える事は経営の両輪のようなものである事を理解した上で、出店場所を検討すれば、資金力で劣る事の多い新規出店者にも成功の可能性が見えてくるのではと思います。